遺言無効
亡くなられた者が、遺言の作成時、認知症であったといった事情がある場合、遺言無効の主張を検討するのが一般的です。
遺言無効確認請求により、遺言が無効であると認められた場合、遺言がないということになりますので、別途遺産分割協議をする必要があります。
遺言の無効事由としては、①遺言能力の欠缺(961条、963条)、②方式違反(960条、967条~984条)等があります。
遺言の無効を争う場合、遺言能力の有無や方式違反が問題となるケースが多く、公正証書遺言であっても、絶対に無効にならないというわけではなく、遺言能力の有無はもちろん、方式違反(「口授」の有無)が問題となり、無効と判断された裁判例はいくつもあります。
遺言能力の有無を争う場合、一般的に、亡くなられた方の医療記録などを取り寄せ、亡くなられた方の当時の判断能力を検討し、遺言作成時に遺言能力がなかった旨の主張をすることとなります。
遺言無効は、その立証が困難である場合が多く、医療記録の取り寄せなども踏まえると、遺言の有効性に疑問を感じた場合は、早期に弁護士に相談されることをおすすめいたします。
当事務所では、遺言無効確認請求事件の経験が複数ございますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。
使途不明金
遺産分割を進めていく中で、被相続人名義の預貯金から多額、多数の引き出しがある場合があります。特に、相続人のいずれかが被相続人と同居していた場合などによくみられます。
この場合、遺産分割の中でこのような使途不明金を特別受益などとして処理できれば、遺産分割の中で処理できます。
しかし、そのような処理ができない場合、金銭を引き出した相手方に使途不明金について別途民事訴訟を提起し、自分が相続すべき金銭を返還するよう請求する必要がでてきます。
その場合、事案に応じて、不当利得返還請求、不法行為に基づく損害賠償請求又は預託金返還請求により、請求をしていくこととなります。かかる訴訟の中では、訴訟の相手方である被告が引き出したのかということや引き出したお金をどのように使用したのか(その使用が法的に正当化できるものであるかどうか)が問題となります。
使途不明金に関する請求は、その立証が困難である場合が多いです。そのため、効果的な主張や立証を検討していくことが不可欠です。当事務所では、使途不明金の請求に関する事件の経験が複数ございますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。